新春トップインタビュー  
   
 ㈱Jーオイルミルズ  
 八馬史尚社長
 自律的に稼ぐ力を付ける年に
 
   
 
 昨年の製油業界は、日銀の金融緩和にも関わらず、為替相場が一米ドル=20円近い円高に動き、輸入原料にとっては有利な展開となった。一方の搾油原料も米国、カナダの史上最高の豊作から需給は緩和したものの、シカゴ相場はブッシェル10ドルを割ると農家がホールドすると云う、下値が限られた相場展開 となり、豊作の恩恵も限定的となった。第4クオータは、トランプショックによる為替の円安傾向から不透明な搾油環境となっている。昨年一年間の総括と新年の抱負について㈱Jーオイルミルズの八馬史尚社長に聞いた

八馬史尚社長
——2016年を振り返っての総括をお願いします。
・「2016年は年明けから想定外の事が起こった。マイナス金利や、イギリスのEU離脱、直近ではトランプ氏が次期大統領に選ばれるなど、後から振り返れば、節目になる一年であった。その様な中で、グローバルで見ると中国経済がやや失速して、成長ドライバーが見当たらなくなっている。一方、日本の中でもこれまでと流れが変わってきている一年であった。消費環境も回復基調と云う言葉が紙 には出てくるものの、一昨年のインバウンド需要が一段落して、消費動向としては力強さを感じる状況ではなかった」
――製油業界では如何ですか。
・「2016年は、為替の でメリットを受けた年であった。上期の決算を見ると多くの業界で、国内売上構成比の高いところでは、円高のメリットを受けた企業が多かった。製油業界について言えば、2015年は家庭用で健康系のプレミアムオイル市場が大きく伸びた所から市場での需要は一巡した感があるが、このような新たな市場が出来た事は財産だと考えている。また、外食・中食については成長はしているものの、販売チャネルによって濃淡があった。当社は、為替の要因と原料環境は大豆、菜種が豊作であった事から、前半は外部環境的には良かったと考えている。足下では為替が円安に振れており、楽観は出来ない。外部環境以外では、自立的にどう稼いで行く力を付けるのか、付加価値をどうやって顧客に提供していくか、全体の事業の効率性、コストの有り様も含めた見直しを行い一定の成 があった。汎用油についても菜種構成比が上昇傾向にあったところから、全体の稼働率を考えての大豆の見直しについても生産から販売に掛けて一定の成果は出た。ただ、環境変化が早いので、事業の取り組みのスピードを更に上げていく事も見えてきた課題である」
――外部環境への対策を聞かせて下さい。
・「2016年は自然災害が多かった。お客様に対するサポートも含めたリスクマネジメントが重要。想定外の事が起こる環境であるので、組織が一丸となって対応出来る力を付けて行きたい。外部環境の変化は予測も難しいが、そこに如何に柔軟に対応出来る力を採算構造、生産構造も含めて取組んでいる。倉敷工場もこの取り組みの一環で、これから10年、20年の長いレンジの中で、海外との障壁が低くなることを想定し、その備えとして、川上の搾油生産体制から最終の物流まで対応できる体制を構築することを、新中期経営計画に盛り込んでいく。」
ーー第四期中期経営計画の進捗をどう評価しているかお聞かせ下さい
・「現在は第四期の中計であるが、中計の数値目標としては、2016年に営業利益100億円の目標に対して、残念ながら半分しか到達していない。第一〜第三期を見る中で、コストダウンでは成 を上げているが、汎用油を超える成長のドライバーについては、道半ばの認識である。これまでは、食用油に対する否定的なイメージがあったが、消費者に対して、本来、油は食生活に必要なものであることを、様々な側 から発信していく。食はバランスと思っているので、油をしっかり摂ってもらう事が大前提としてある。『毎日栄養オイル』についても脂溶性の栄養素や脂肪酸 をきちっと訴求することで、食用油の価値全体をアピールする機会になる事を期待している。点での成功事例が出ているので、点を線や に拡大していく。オリーブオイルについても、顧客のニーズに合わせて対応力を広げていく。2015年からのご当地アヒージョの展開も、各エリアの販売店と連携して、素材も各エリアの地産地消との動きと合わせた提案が出来ている。また、昨年から始めたオイルおにぎりの提案も大変好評で、油の新たな用途の一つとして食の多様性に繋がればと考えている」

ーー倉敷工場の進捗状況をお聞かせ下さい
・「倉敷工場の進捗状況は、ほぼ予定通りに進んでおり、2017年4月に試運転を行い、6月から本格的に稼働していく。新たな拠点が出来る事で、全体の搾油の在り方についても再構築していきたい」
ーーインドやタイでの販売事業は如何ですか
 
「我々はインドでは汎用油の販売に行っている訳ではない。日本で培った〃長調得徳〃が日本以外でも受け入れられるかを検証するためである。2016年には3度、インドを訪問して、お客様にお会いしているが、厳しいご意見の中にやるべきことが見えてきた。 常のコモディティ商品より若干高く販売しているが、プレミアムを認めてくれるお客様のプロファイルも見えてきている。ホテルチェーン店等でご理解をいただいているロイヤルカスタマーもいらっしゃる。タイについては、日系の畜産・水産加工メーカー向けのスターチの採用事例が増えている。日系以外にもローカルのお客様が増えているが、まだまだ規模が小さいので、もう一段加速するための次の一手を今年は実行していく年にして行きたい。アセアンのポテンシャルを開拓する上で、リソースを割いて取組んで行きたい」
ーー最後に現在策定中の新中期経営計画の概要についてお聞かせ下さい。
・「ベースは組織のマインドセットで、外部環境に左右されやすい事業なので、自立的にチャレンジする組織、風土、文化をどう作って行くのか、組織の垣根を超えて縦横斜めにコミュニケーションを取って、一体感を醸成して行くのかがテーマとなる。Jーオイルミルズも創立から12年経過した。カルチャーの融合を図ってきたが、仕上げのステージに入って行く。また、経営の見える化についても情報投資含めてしっかりと取り組む。事業の戦略については、家で言えば一階が汎用油脂だとすると、これから 的には少子高齢化で地盤沈下するので、基礎部分を盤石にして、その上に付加価値の二階建てをしっかり作っていく。二階の部屋では、調味料としての油、健康 での油も再構築していく。新規事業も検討しながら、粉末油脂やスターチ等の油脂に付随する部屋を作って行く。新中計では、2020年までのビジョンを描くが、2030年まで見たときに、我々が存在意義のある会社であり続けるためにはどうするか、中長期的な成長を見据えた計画にしていく」。


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