新春トップインタビュー  
   
 日清オイリオグループ  
 今村隆郎社長に聞く
 4月からの新中計は成長路線へ
 
   
 
 事業構造改革が着実に成果を上げ、油脂・油糧事業は相場に左右されにくい収益体質に変わりつつある。ISFを中心に加工油脂事業が大きな飛躍を遂げる中、4月からスタートする新中期経営計画は、成長路線への転換が方針となる。新春トップインタビューの第一弾は、日清オイリオグループの今村隆郎社長。
――まずは、昨年の製油業界を振り返って。
 「原料事情はここ数年、大豆、菜種とも豊作に恵まれ、16年については米国大豆、カナダ菜種が過去最高の生産 となった。にもかかわらず、いずれも価格は下がらない。従来であれば、恐らく大幅に相場は下がったのだろうと思う。これだけの豊作であれば、シカゴ大豆は8~9ドルあたりまで下がっておかしくないが、現状は10ドル台を維持している。一つは世界の人口が増え、生活水準も上がっている中、需要が世界的に堅調であるということ。とくに中国の需要が旺盛で、大豆の輸入が大幅に増えている。昨年12月に開催された東アジアフォーラムで中国の代表団は、2020年には9000万トンを超える大豆輸入が想定されると話していた。今後も、豊作でありながら需給はタイトという流れの中で、相場はなかなか下がりづらいのではないかと考えている。加えて、昨年はマレーシアのパーム油がエルニーニョの影響で減産となったことから、パーム油高、大豆油高につながり、オイルバリューが上昇していることも大きい。このため、今期比較的落ち着いていた原料コストは、一月以降、非常に厳しい状況に変わっている。為替の大幅な円安も大きな懸念材料だ。2017年は厳しいコスト環境になるとの前提で見ておいた方がいいだろう」
――まずは、昨年の製油業界を振り返って。
「原料事情はここ数年、大豆、菜種とも豊作に恵まれ、16年については米国大豆、カナダ菜種が過去最高の生産 となった。にもかかわらず、いずれも価格は下がらない。従来であれば、恐らく大幅に相場は下がったのだろうと思う。これだけの豊作であれば、シカゴ大豆は8~9ドルあたりまで下がっておかしくないが、現状は10ドル台を維持している。一つは世界の人口が増え、生活水準も上がっている中、需要が世界的に堅調であるということ。とくに中国の需要が旺盛で、大豆の輸入が大幅に増えている。昨年12月に開催された東アジアフォーラムで中国の代表団は、2020年には9000万トンを超える大豆輸入が想定されると話していた。今後も、豊作でありながら需給はタイトという流れの中で、相場はなかなか下がりづらいのではないかと考えている。加えて、昨年はマレーシアのパーム油がエルニーニョの影響で減産となったことから、パーム油高、大豆油高につながり、オイルバリューが上昇していることも大きい。このため、今期比較的落ち着いていた原料コストは、1月以降、非常に厳しい状況に変わっている。為替の大幅な円安も大きな懸念材料だ。2017年は厳しいコスト環境になるとの前提で見ておいた方がいいだろう」
――こうした中、今期ここまで好調な業績で推移しているが。
 「中期経営計画の最終年度を迎えているが、この3年間の一番の目標は油脂・油糧事業の構造改革であった。できるだけ原料相場、為替に左右されにくい収益構造を作るということで、逆に言えば、原料相場がどうであれ、一定の収益を確保できるような体質にどう変えていくのか、ということが一つの大きな目標であった。加えて、毎年少しずつでも利益を積み上げ、増益を たしていくということもテーマに掲げた。今期が終わったわけではないが、増益は果たせる見込みであり、これで13年度から四期連続の増益ということになる。原料環境が比較的安定していたというのも一つの要素ではあるが、それ以外にも各事業で取り組んできたことが、好結果につながっているものと考えている。家庭用油で言えば、キャノーラ油の同質化競争からの脱却を目指し、新しい収益構造に変えてきている。まだまだ十分ではないが、少しずつ効果が出ている。現状、基幹カテゴリーの中で、約一割が日清ヘルシーオフ、日清キャノーラ油ナチュメイドになってきている。これをさらに高めていきたい。また、オリーブオイル、ごま油、アマニ油、中鎖脂肪酸油といった生食という新しい市場の開拓にも取り組んでいる。着実に収益体質は変わってきている。すでに家庭用油の利益ベースでは、オリーブオイル以下、健康オイルやごま油、アマニ油などで半分を占めるようになった。ギフトを入れると約六割が相場に影響されにくい収益構造になっている。加工油脂、ファインケミカルを含めて、当社の収益構造は少しずつ相場に左右されにくい体質になってきているものと思っている」
 「業務用油に関しては、中食、外食に対して、新規販路の開拓が着実に進んできている。単に攻めるということではなく、新しい商品、技術に立脚した付加価値の高い商品を提案するとともに、ユーザーサポートセンターを中心として、業務用の新しいマーケットを攻めている。販路の拡大に努めてきた結 、業務用油においてもここ数年の中では、収益が上がっている。このほか、容器戦略も重要だ。業務用油の得意先はどうしても人手不足であり、運転手なども不足してきている。人手不足への対応や得意先のハンドリング、簡便性の問題などから、BIBやピローだけではなく、新しい容器の研究も行っていく必要がある。また、これまで20数年やってきたミニローリーについても、何か新しい手はないのか、検討する必要がある」
――加工油脂事業も順調のようだが。
 「油脂・油糧事業に次ぐ第二の柱とすべく取り組みの成 が出ている。国内では新しい販路に付加価値の高い製品を提供し始めている。何より海外では、マレーシアのISFが大きな収益をあげる企業に育ってきた。ISFについて言えば、当社の技術とISFの技術の融合によって、得意先の大きな信頼を得ているということもあり、その結 として大きな利益が出るようになってきている。ある意味、ISFの構造改革と言ってもいいだろう。また、マレーシアにNGRC(Nisshin Global Research Center)を設置し、パーム油研究の拠点としている。今後はマレーシアだけでなく、成長するアジアの拠点として活動していきたい。また、現在、子会社の大東カカオとインドネシアのサリムグループで合弁事業の交渉を進めている。これが実現した場合、大東カカオが初めてアジアにチョコレート事業で進出するというもの。伸びるアジア市場に対してチョコレート、あるいは加工油脂で参入する1つの大きな先兵となる。ISF、シンガポールのT&C、そしてサリムグループとの提携という点を、線や に展開する取り組みを積極的に行っていく。これからアジアの時代が間違いなく到来する。ここに軸足を置いて、成長戦略を描いていく」
ーーファインケミカル事業、ヘルシーフーズ事業については。
 「ファインケミカル事業は安定した収益となっているが、さらにジャンプアップしていく必要がある。化粧品原料を中心にアジアで伸ばしていきたい。中国に現地法人を設立しており、腰を据えて成長を目指していく。スペインのIQLに関しては、大西洋を越えれば中南米という市場が未開拓のままとなっている。いろいろな形で調査・研究を進めており、中長期的なスタンスで取り組んでいきたい。ヘルシーフーズ事業では、中鎖脂肪酸をこれからの成長商材と 置付け、取り組んでいる。まだまだ認知度が低いなど不十分なところはあるが、着実に中鎖脂肪酸の効能などが認められてきている。赤ちゃんから高齢者まで、人びとのあらゆるライフステージにおける食の部分に中鎖脂肪酸は貢献可能である。認知度アップや研究技術に課題はあるものの、40年以上にわたって積み上げてきた技術をベースにさらに深堀りすることで、新しい可能性が生まれてくるものと考えている。今後も新しい機能の可能性を追求していくとともに、当社だけではなく、他企業、あるいは海外とグローバルな展開を含めて成長戦略の1つとして 置付けていきたい」
――横須賀の中央研究所を横浜磯子事業場に集約したが。
 「昨年12月に移転、研究部門と生産部門の融合ということになる。元々、研究技術、生産技術も含めて技術拠点の統合というのは、よりシナジーが得られる 可能性が高い。生産はどちらかと言えば効率性の部分を要求されることが多いが、研究開発は創造性が重要だ。生産性と創造性をミックスした研究開発、言うならば、いい商品をできるだけ効率よく、スピードをもって技術開発、商品開発につなげていくことが新しい技術開発センターのミッションであると思っている。研究部門と生産部門の人的な交流が必要であり、技術開発センターはフリーアドレスにする。交流を前提としたもので、生産と研究の化学反応を起こさないと意味がないと思っている。化学反応を起こす触媒になるものは何なのか、議論し、融合により新しいものが生まれることを期待している」
――今年4月からスタートする新しい中期経営計画については。
 「現中計の三年間で構造改革を行い、まだまだ道半ばだが、目標に近づきつつある。構造改革路線は、17年度からの中計にも継承していく考えだが、加えて、次に向かって大きく飛躍するための成長路線に舵を切っていく。これから当社が伸びるための成長戦略を重視した中計にしていきたい」。


 ㈱Jーオイルミルズ