新春トップインタビュー  
   
 日清オイリオグループ 
 久野貴久社長
 加工油脂などグローバル化加速
 
 中期経営計画初年度の目標達成に向けて、付加価値化の推進と、ISFを中心とする加工油脂事業、ファインケミカル事業での一層のグローバル化を進める。中計で描いた成長戦略を着実に進め、経営計画の確実な達成に向う。新春トップインタビューの第一弾は、日清オイリオグループの久野貴久社長。

 久野貴久社長
——まずは、昨年を振り返って。原料相場の高止まりや円安で、コスト環境は様変わりしているが
「前年と比較して、油価の居所が大きく変わった。昨年の1月、4月に価格改定をお願いし、3〜4月に一定の価格改定は進んだが、相場の上昇に見合った水準には届かず、上期決算は厳しい状況となった。その中で、改めて10月から価格改定をお願いしている。昨年末段階で一定のご理解を得て、斗缶は300円のうち200円、バルクはkg当たり20円のうち15円程度の改定が進んだ。価格改定への理解は広がっており、何とかもう一段の浸透を図り、満額を実現したいと考えている。コストに見合った適正価格での販売、油の価値が見直される中での適正価格にご理解を得ていくことが重要であると考えている」
「ホームユースでは、かけるオイルについて、鮮度のオイルシリーズなどで、メニュー提案やボトル容器の工夫など、さまざまな提案で着実に市場拡大を図っている。汎用油でも、日清ヘルシーオフや日清キャノーラ油ナチュメイドといった商品の構成比を高めることで、実質的な単価の引き上げと収益安定化につなげている。業務用の中食・外食向けでは機能性オイルの提案、ニーズ協働発掘型でユーザーサポート機能を拡充しての提案を強めている。その中で機能性オイルの拡充として、日清スーパーロングシーリーズ、日清吸油が少ないフライオイルなどの拡販に努めており、課題解決を図りながら、機能 の評価をいただき、拡販につなげている。下期も引き続き取り組みを深めて、18年度も継続していく」

——成長戦略の核となる加工油脂事業については。
「加工油脂事業は、ISF社を軸に世界的なパーム油需要拡大に対応すべく、生産量の拡大とサプライチェーンの拡充を図りながら、よりユーザーに近い場所でサービスの強化を図っていく。その一環で、加工油脂事業のグローバルサプライチェーンの拡充を進めており、イタリアでの精製拠点獲得や中国での物流・販売拠点の設置によって、ユーザーに密接したサービスの拡充を図り、事業拡大を目指している。また、持続可能な調達やパーム油の微 成分のコントロールなどの技術力・研究開発力を武器に、品質 の強化を図りながら、国内外の研究開発拠点とも連携し、パーム油事業の強化を図り、加工油脂事業の質・量の両面で拡大を図っていこうと考えている。業務用チョコレート事業では、インドネシアのサリムグループとの合弁事業の展開で確実に進めていく。19年度のできるだけ早いタイミングで、現在建設を進めている新工場の稼動を実現する。すでに工場の着工が始まっており、並行してマーケティング戦略も策定している段階にある。工場稼動から瞬時に製品販売できる体制を整えていくことが当面の課題になる」
——将来の成長事業と 置付けるヘルスサイエンス事業については。
「ヘルスサイエンスは、17年度からスタートした領域で、まだまだ具体的な成 には至っていないが、MCT(中鎖脂肪酸)は従来の低栄養対策などの高齢者をターゲットにしたものから、ボディメイクのようなスポーツ・美容領域での活用を広げるべく、マーケティング戦略を強化した。昨年秋には、インテルミラノの長友選手を起用して、MCTの認知を高めるプロモーション活動を強化している。結晶性油脂については、食品分野を中心に提案を強化しているが、海外の展示会や国内の粉体工業展にも出展し、食品以外のユーザーからの関心も高い。事業化に向けた検討を進め、来期に向けて取り組みを広げていきたい」
——今年やるべきことは。
「足下ではコストに見合った適正価格の実現が最重要であり、油脂の価値に見合った適正価格の実現に努めていく。加えて、生活者の油脂へのイメージがポジィティブな状況にある中で、さらに多様な付加価値の提案を進めていく。健康価値を生み出す製品、サービスの提供、積極的な情報発信を進めていきたい。必ずしも、ホームユースの分野のみならず、加工用、中食・外食などの業務用にも幅広く提案していきたい。パーム油を中心とする加工油脂、化粧品原料を中心とするファインケミカルは着実にグローバル化の布石を打っていく。17年度の取り組みをさらに前進させ、同時にグローバル化を推進するための、事業組織、人材育成、拠点拡充などの投資を進めていく。今期も残り第4四半期となったが、中計初年度で掲げた営業利益100億円の達成に向けて、グループの総力を結集して目標達成につなげたい」
「来期も油脂事業は厳しい環境が想定されるものの、取り組みのスピードを上げて、成長戦略を加速させたい。油脂事業の相場アゲンスト、原油価格の上昇、エネルギーコスト高騰、人手不足による物流コストの増大など逆風は多々あるが、しっかりと取り組みを進めていく。その柱となるのは付加価値化であり、具体的な取り組みの実行、将来に向けたグローバル展開の実行、ヘルスサイエンス事業の拡大を18年度に結実させたいと考えている」

——新社長に就任して半年が過ぎたが、改めて日清オイリオグループをどのような会社にしたいのか聞きたい。従来の搾油中心から、チョコレートを含めた加工油脂事業によりシフトしていくのか。

「当社の方向性は二つ。ひとつは直接的、間接的に人々のライフステージにおいて健康で豊かな食生活に貢献するということである。貢献し続けるために、継続的な開発やブランド戦略、マーケティング投資を続けていく。これが当社の力の源泉になることは、今後も間違いない。もう一つは、産業の担い手、基盤としての役割を発揮するということである。そのためには、機能面で優れたモノ、サービス面での優位性がないと評価されない。そこはしっかりと強化していく。その中で、ひとつの切り口はチョコレート用油脂やチョコレートを含めた加工油脂のグローバル展開であり、化粧品原料を中心とするファインケミカル、国内では食の安全・安心、衛生管理 での関心が高まる中で、攝津製油の衛生関連商品などの拡大も期待できると考えている。グループトータルで国内外において、『おいしさ・健康・美』という企業理念の下で、社会に貢献していく企業でありたいと考えている」。


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